相続税が、いったいどのくらいかかるのか気になりませんか?
しかし、相続税については、一概にいくらと言えないのです・・・。
ここでは、おおまかな相続税の計算の流れをご説明します。
計算の流れをご説明するだけでもかなりのボリュームに
なってしまいましたが・・・。
正確に相続税の計算をすることは、とても複雑で難しいので、
実際に、ご自分のケースについて、相続税が心配な方は
お早めに税理士へご相談されることをおすすめします。
それでは、
まずはじめに、相続税の対象となる遺産の額を計算
してみましょう。
1.相続税の課税価格を計算する
「課税価格」の計算は、つぎのようになります。
<課税価格の計算式>
課税価格=①本来の相続財産+②みなし相続財産-③非課税財産
+④相続時精算課税制度の贈与財産-⑤債務・葬式費用
+⑥相続開始前3年以内の贈与財産
んっ?
本来の相続財産?、みなし相続財産??、相続時精算課税制度???・・・。
何のこと?
聞きなれない言葉ですね。
それでは、順に説明していきます。
①本来の相続財産
故人が相続開始の時に持っていた財産です。
たとえば、
現金、預貯金、不動産、有価証券、宝石、家具、自動車
書画・骨董品、事業用資産、電話加入権、著作権などの
一切の財産です。
②みなし相続財産
故人が相続開始の時に持っていたわけではないが、
実質的には、故人が持っていたとされる財産です。
たとえば、
死亡退職金、功労金、生命保険契約の権利、定期金の権利
などです。
③非課税財産
相続税の課税対象とならない財産があります。
たとえば、
墓地・仏具等、公共事業用の財産
相続税の申告期限までに国などに寄付した財産
相続人が取得した生命保険・死亡退職金のうち一定の額
などがあります。
④相続時精算課税制度の贈与財産
相続時精算課税制度とは、贈与税の負担を少なくして生前贈与が
できる制度です。
もし、故人から生前にこの制度を利用して贈与を受けていた場合には
贈与財産を相続財産に加えて相続税の計算をしなければいけません。
贈与財産は贈与時の価格で加算します。
すでに贈与時に贈与税を支払っている場合には、その税額を相続税
から差し引くことができます。
⑤債務・葬式費用
相続人や包括遺贈者は、マイナスの財産(借金など)も引き継がなけれ
ばなりません。相続税を計算する場合には、マイナスの財産を差し引いて
計算することができます。
では、どのような財産を差し引くことができるのでしょうか。
たとえば、
未払いの税金、未払い医療費、各種ローン、借入金
葬式費用(通夜・本葬費、死体の捜索・運搬費用など)
などがあります。
差し引くことができない費用としては、
墓地買入の未払い金、弁護士や税理士などの専門家費用
法会の費用、香典返礼費用
などです。
⑥相続開始前3年以内の贈与財産
相続開始前3年以内に生前贈与を受けた財産は、相続税の課税価格に
加算されます。加算する際は贈与時の価格となります。
ただし、加算されるのは、相続や遺贈により財産を取得した者だけに限
られます。また、加算する財産は、贈与税の対象となった財産です。
以上の①~⑥を金銭に換算して、先ほどの課税価格の計算式に
当てはめて計算します。
「課税価格」が計算できたら、
次に相続税の総額を計算してみましょう。
2.相続税の総額を計算する
相続税には基礎控除額というものがあります。
先ほど計算した「課税価格」が基礎控除額以下であれば、
相続税はかかりません。
基礎控除額については、つぎの式で計算します。
基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
【ここ注意!】
法定相続人の数ですが、相続放棄をした人がいても放棄がなかった
ものとして人数を計算します。
また、故人に養子がいる場合には、故人に実子がいない場合は2人
まで算入できます。故人に実子がいる場合には1人まで算入できます。
基礎控除額を計算してみましょう。
分かりにくいので、例をあげてご説明します。
相続人が3人だったとします。
その場合の基礎控除額は、
5000万円 + 1000万円×3人 = 8000万円 となります。
つまり、
「課税価格」が、8000万円以下であれば、相続税はかかりません。
あなたの場合は、どうですか?
相続税がかからなかった方は、「申告の必要はありません!」
ここまでお読みいいただきまして、ありがとうございました。
相続税がかかってしまう方は、もう少しお付き合いください。
つぎの式で「課税遺産総額」を計算します。
課税遺産総額 = 課税価格 - 基礎控除額
そして、この「課税遺産総額」を法定相続分で分割したと
仮定します。( ⇒ 法定相続分とは?)
たとえば、課税遺産総額が10億円だとします。
相続人は、配偶者と子2人だった場合で計算してみます。
この場合の法定相続分は次のようになります。
配偶者:1/2、子①:1/4、子②:1/4となります。
よって、10億円を法定相続分で分割すると
配偶者:10億円×1/2= 5億円円
子① :10億円×1/4= 2億5千万円
子② :10億円×1/4= 2億5千万円
このようになります。
次に各相続人の税額をそれぞれ計算します。
計算には「相続税の速算表」を使います。
【相続税の速算表】
課税遺産総額 税率 控除額
1千万円以下 10% -
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円
各相続人のそれぞれの税額を計算してみましょう。
配偶者:5億円×50%-4,700万円=2億300万円
子① :2億5千万円×40%-1,700万円=8千300万円
子② :2億5千万円×40%-1,700万円=8千300万円
これらを合計すると相続税の総額となります。
相続税総額 = 2億300万円+8千300万円+8千300万円
=3億6,900万円
これを各相続人の実際の相続分に合わせて按分します。
たとえば、実際に相続する額が次のとおりだとします。
配偶者:2億円 (2/10)
子① :2億円 (2/10)
子② :6億円 (6/10)
そうすると、それぞれの税額は、このようになります。
配偶者:3億6,900万円 × 2/10 = 7,380万円
子① :3億6,900万円 × 2/10 = 7,380万円
子② :3億6,900万円 × 6/10 = 2億2,140万円
やっと、「各相続人の税額」が計算できました。
でも、まだ終わりではありませんよ。
最後に各相続人ごとの税額控除や加算を計算します。
.税額の控除・加算を行う
相続税が加算されてしまう人がいます。
配偶者、代襲相続人の孫、親・子などの1親等血族
以外の人は、先ほど計算した相続税額の
2割に相当する額が加算されます。
次に税額控除をご説明します。
まず一つ目は、
① 贈与税額控除
故人から生前に贈与された財産のうち、相続開始前
3年以内のもので贈与税が課税されたものが対象と
なります。
相続や遺贈で財産を取得した人は、贈与税額が相
続税額から控除されます。
控除される額は、つぎの式で計算します。
贈与を受け 相続税の課税価格に加算された贈与財産の額
た年分の × ――――――――――――――――――――
贈与税額 贈与税の課税価格 - 贈与税の配偶者控除
② 配偶者の税額軽減
配偶者については、大幅な税額の軽減がされます。
配偶者については、法定相続分までは課税されません。
また、法定相続分を超える場合でも1億6千万円までは課税され
ません。
【ここ注意!】
この制度を適用した結果、相続税がゼロとなる場合でも申告は
必要です。
③ 未成年者控除
相続人が未成年の場合に適用されます。
※放棄をした相続人が遺贈により財産を取得した場合でも適用
されます。
未成年者控除額は、つぎの式で計算します。
6万円 × (20歳 - 相続開始時の年齢)
※カッコの中の数字の端数は繰り上げ
④ 障害者控除
相続人が70歳未満の障害者の場合に適用されます。
※放棄をした相続人が遺贈により財産を取得した場合でも適用
されます。
障害者者控除額は、つぎの式で計算します。
・一般障害者
6万円 × (70歳 - 相続開始時の年齢)
※カッコの中の数字の端数は繰り上げ
・特別障害者(1級、2級)
12万円 × (70歳 - 相続開始時の年齢)
※カッコの中の数字の端数は繰り上げ
⑤ 外国税額控除
遺産に外国財産がある場合で、その財産がある国において
相続税に相当する税が課せられている場合に、その税額を
相続税から控除することができます。
⑥ 相次相続控除
最初の相続から10年以内に次の相続が発生した場合に
適用されます。
この場合、前の相続の相続税の一部を今回の相続税額
から控除することができます。
この計算は、ちょっと複雑なのでココでは省略させて
いただきます。スミマセン!
以上の項目を各相続人の税額に加算・控除すると
各相続人の相続税の額が算出できます。
なお、財産の価格を評価する場合においても税法上の
細かい決まりがありますのでご注意を!
H20年11月現在(税法は改正が多いので注意)





